4th Cage の波紋と、4.0の感想その他

 
 
 基本三冊も出揃わないうちから感想も無いんだけど、大きな変化が
あったのと、どうにもモチベーションが上がらないので、まぁ、
リハビリ的に書いていこうなと、そんな感じです。
 
 相変わらず(自分でも)長文がウザイので、先に結論を1つ書いておこう。
 
 カードゲームにたとえれば、
 3.0系はガチデッキで、4.0系はブードラなのよ。
 
※ ブードラ
 ブースタードラフトの事。
 カードゲームにおいて、大会の当日に会場でカードのパックを
(大抵はその場で購入して)開封し、そこから順番にカードを取ってゆき、
その場でデッキを構築して遊ぶ形式。詳しくはwikiみてね。
 
 この方式だと、デッキ = キャラをすぐに把握できることが必須条件で、
重要なのはプレイングということになる。
 
 デッキ構築 = キャラメイクよりも、
 プレイング = キャラ運用の方が大事。
 
 こう書けば、ちょっとは分かりやすいかな?
 
 3.0系は、事前にアレコレ考えて用意して、時間と金をたっぷり
つぎ込んで、渾身のデッキをくみ上げて挑む、真剣勝負の場。
 
 趣味だけど遊びじゃない。こういえば伝わるのかな?
 
 突き抜けた人たちはクソ重い3.0系を軽く振り回すけど、
それはルール処理ノーミソのStrが30ある例外な連中だ。
 
 3.0系は、ヘビー級ゲームであることを自覚して遊ぶゲームだ。
 
 
 4.0は、当日に現場であけた、初めて見る手札をやり繰りして
デッキをくみ上げて遊ぶゲーム。
 
 4.0は、気づかない/認めない人が多いだけで、ライト級ゲームだ。
 
 このように、文字通りの意味で土台から違う。
 
 
 ***
 
 あれ、書いてるうちに 4th Cage で波紋が…
 っと、思ってるウチに収束しかたか。
 
 いしかわさん流の波紋相殺
「弾くツンと、くっ付くデレ」 を見せてもらいました。
 
 コメ欄に突っ込むのはアレですが、一部に反応しておきます。
〈視認〉100超えやAC50ってのは実験室レベルのメイクです。
 実用になるビルドをしたら、あんな数値にはなりません。
 
 ミルコポイントを貰うようなトンデモPLたちの裏技の一部を、
普通のPLでも分かるように、要素ごとに展示しているコミュなんですね。
 
 と、先日、初心の会で交渉特化キャラが使用されてアレだった件には
必死で目をそむけながら言ってみるテスト。
 
 
 例によって前置きが長くなりましたが、私の現時点での4.0私見
始めましょう。
 
 ***
 
Q:LISTのいう大きな変化って何よ?
A:ウイザードのHPが、一般人より高くなりました。多分。
 
 これまでのD&Dは、あくまで一般人の延長だと言い張っていたわけです。
 どっかのバカみたいに能力値50ポイントバイとか言い出さない限り、
多少優秀であっても、それは人間の枠を超えたものではなかった。
 
 50ポイントだって人間の枠は超えていないけど、18が3つのヤツを
「一般人と同じだ」と言うほど、私の面の皮は分厚くない。
 ルルブの指針で「ハイパワーキャンペーン」とされている32ポイントの、
実質2倍のポイントってどうよ?
 
※ 32ポイントの実質2倍
 一般人は15ポイントで作られ、11が3つと10が3つになります。
これは「能力値ボーナスがない平均値」にするためのポイント配分です。
 32ポイントから15を引くと17。50ポイントから15を引くと35ですので、
実質的に2倍となります。
 平均値分を支払い終え、以降はボーナスを得るための数値となる部分が
ルルブの最大指針の二倍もあるのです。
 
 ***
 
 脱線はさておき、これまでのHPダイスは以下の通りでした。
 クラシックでは、一般人はd8、ウイザードはd4。
 3.0系では、一般人はd6、ウイザードはd4。
 ファーストやセカンドでも、一般人は知りませんが、ウイザードはd4です。
 
 そんなワケで、たとえPCであろうとも、ウイザードはひ弱で一般人にも
満たないHPしか持たないワケです。表にすれば明らかですね。
 
 d4のPC:04,06,09,11,14,16,19,21
d6のNPC:04,07,11,14,18,21,25,28
※ダイス期待値の端数は、偶数LVで切り捨て、奇数LVで切り上げ。
 
 PCは1LV時HP最大ですが、その恩恵があっても、d6の方が高くなります。
 これが、いままでのD&DがPCに求めた姿でした。
 
 さて、4.0ではどうでしょう?
 4.0ウイザード:20ちょっと
 4.0一般人: ………
 
 なんと、MMに一般人がいないのです!
 そもそも、データ化されていません!!
 
 わたし今回は英語版見ていないので人に聞いたんですが、見落とし
ではないらしいです。
 一般人(コモナー、ノーマルマンなど)はデータで登場せず、
出てくる場合は、スキルチャレンジの対象というか、
そんな感じになるのだそうです。
 
 そう、4.0のD&Dでは、PCはPCだというだけで既に特別なんです。
 数値化されない「そのほか大勢」ではなく、スゴイ人たちなんですよ。
 
 アクションポイントという、一般人が持っていない特殊なポイントも
持っています。
 これはデータ化してもらえる敵の皆さんの中でも、一部のエリートしか
持っていません。
 
 そう、データ化すらしてもらえない一般人とは格が違う上に、
 データ化されている中でも、更に特別なポイントをもらえる人なんです。
 
 これは、エベロンのPCより更に特別扱いされていると言えるでしょう。
 エベロンでは周りを下げて、アクションポイントを与えましたが、
 4.0では周りを下げて、更にPCを上げたのです。
 
エベロンでは、PCクラスを持てるのはPCと重要人物くらいで、
その他はNPCクラスを使用する。
 NPCクラスは性能でPCクラスに劣る。
 また、アクションポイントも導入した。
 
 *** 脱線開始 ***
 
 いつも思うんだけど、こーゆー風な、ロールプレイ上で大きな違いを
生む変化や特徴について、演技重視とか抜かす口先だけの連中は何も
言わないよね。
 
 彼らにとってのロールプレイって、演劇的な意味で表現力豊かに
驚いた顔をしたり、そういった仕草をプレイヤー自身が行うこと
なんだろうか?
 
 温存特技のタッチ・オブ・ヒーリングなんかが顕著な例で、これがあれば、
即死以外の外傷で死ぬ人はいなくなる。
 そんなにも大きく世界が変わったのに、演技だの何だの言う人たちは、
何もしないし、変化も無い。
 
 好き勝手なセリフを垂れ流すだけなら、それって邪気眼だよ?
 
 *** 脱線終了 ***
 
 さて、また別の視点から見てみよう。
 
 3.0系では、ゲームの無理を、ルールとして表現しました。
 
 …意味不明な文章なので、説明していきましょう。
 
 例えばクラシックでは、鎧を着て秘術魔法を唱えることは
(エルフにしか)出来ませんでした。
 でも、マジックユーザーだって人間ですから鎧は着れます。
エルフに可能なら人間にも不可能ではないはずです。
 
「ゲーム内現実として実行可能だけどゲーム的に止めて欲しい事」
 
 クラシックでは、ゲーム内の現実として不可能ではない事でも、
強制的にダメ出しを食らう。こういった状況でした。
 
 3.0系ルールでは、こういった事柄に関して上から命令して規制
するのではなく、
 
「ゲーム内現実として実行したらどうなるか?
 これに対応するルールを作った」
 
 つまり、上から目線で「やるな!」と命令するのではなく、
「やると、こうなりますよ」と教えてくれるワケです。
 
 不可能ではない事柄について、
 命令で禁止されるのと、
 実行してよく、さらに結果を教えてくる
 さあ、どちらが良いですか?
 
 ***
 
 あー、いや、鎧の呪文失敗率に関しては、多分セカンドの頃にも
あったと思います。
 でも、鎧の例はあくまで一例で、ここで言いたいのは
 
 上から目線で「やるな!」と命令するのではなく、
「やると、こうなりますよ」と教えてくれる。
 
 このように、方針というか態度が変わった事を言いたいのです。
 
 念のため確認しますが「やるな」と命令されるより、
「やると、こうなりますよ」と教えてくれる方が良いですよね?
 
 さて、唐突ですが4.0で一般人を攻撃して見ましょう。
例えば、気絶させたい場面もありますよね?
 えーっと一般人のデータは……
 
「そもそもデータ用意してねぇ」
「だから、やるな」
 
 こんな返事が返ってきました。
 
 …最大限に好意的に受け止めたとしても、
「PCは特別なヒーローになったから、そんな事はしないでくれ。
 PCは特別でスゲーからパンピーは気絶したでいいよ」
 このくらいの解釈が精一杯です。
 
 ま、よーするにDMに投げっぱなしです。
 ゲームとしては、これって困るんですよね。
 
 DMごとに結果や内容が変わるって、安定したゲーム運営とは
言えないですよね? っていうか、時代に逆行しています。
 
 1/5に書いた日記、「ゲーム新旧」でも触れたけど、
マスタの職人芸に頼ってちゃ、ゲームとしてダメなのよ。
 
XXがダメダメだという事実はプラス評価になりえないが
XXがOKだという事実はプラス評価になりえる
 
 あぁ、くそ、また少し脱線したな。
 元に戻そう。
 
 とにかく、3.0系システムはルールによる表現、とでも言い
ましょうか、ゲーム内のリアリティというか、ルールによる再現が
多面的であり、様々な要素が支えあっていました。
 
 例えば飛行機動性は、それ自体が様々なパラメタを持ちましたが、
飛行行為だけでなく、高所からの攻撃や、挟撃の位置取りに関する定義も
あり、落下時の扱いもありました。
 いわゆる片手落ちが無い様、多角的にフォローされているのです。
 
 大雑把に言いますが、4.0はこれを放棄したのです。
 
 だって、メンドーなルールが入ってきたら、それは読み込みや習熟を
要求してしまって、ブードラの趣旨とかみ合わないんですよ。
 
 だから、ほんのちょっと空を飛ぶ能力(エアジェナシなど)は与える
けれど、昔は楽に出来たフライの呪文がスゲー高レベルになってるワケ。
 
 ***
 
 ある人はD&Dを指して、冒険を再現するゲームと評しました。
 道に迷うルールや野営のルールがあったのは、まさに冒険(の1シーン)を
再現するためでした。
 
 これは昔から、つまり、ダンジョン・サバイバル・ガイドや、ワイルダネス
サバイバル・ガイド、それ以前の青箱の時代からあったものです。
 
 しかし、4.0ではこれらの扱いは変わりました。
 何かが起こるなら、それは戦闘遭遇かスキルチャレンジにして、
ちゃんと処理しろ。でなければそもそもやるな。
 こーゆーことです。
 
 移動ルールの最初の文章からも確認できます。
 4.0のPHB-J260ページには、まるでシーン制であるかのように、
あいだの移動を省略してよい旨が書かれています。
 もちろん、今まで通り移動速度も掲載されているけどね。
 
 ***
 
 さて、また別の視点から見てみよう。
 
 エルフの寿命が、800年から200年に変わりました。
 …これって、エルフのAさんの人間の友人、BさんとCさんの年齢差が
4世紀ほどあったりしたら、設定どうするの?
 200歳のときの友人と、600歳のときの友人、それぞれいるよね?
  
 FR世界ではスペルプレイグ(呪文荒廃)が起こったというけれど、
たった100年後の世界なんだよね?
 じゃぁ、いま400歳のエルフ同士の子供は何歳まで生きるの?
200歳? 昔どおりの800歳?
 あるいは、いま400歳のエルフは寿命で死ぬの?
 
 実際問題としては、寿命が原因の設定トラブルは起きないと思う。
 でも、ゲーム内現実としては、パラレルワールドですとでも言わないと
つじつまが合わないレベルで世界が変わっている。
 
 
 ***** 
 
 
 長くてウザイので、ここらでまとめよう。
 
 
 いい加減、認めようではないか。
 
 もはや君らの知っている世界は無い。
 全く無い。
 別の、知らない世界なんだ。
 
 そして、キャラクターの扱いも変わった。
 いままでの「フツーの冒険者」ではなく、最初から“英雄級”であり、
彼らは伝説や神話へ続いていく。
 一般人はもはやHPで勝てない相手ではなく、数値化すら許されない、
相手にしてはいけないと言われるほどに各下の相手になった。
 数値化が許されているモンスターですら、HP1のザコが登場した。
 
 
 今までのD&Dは、消えてなくなったんだ。
 
 まず、これを理解し、受け止めよう。
 
 
 チーズはどこへ行ったのか
 そんな本もありました。
 
 4.0の中に3.0系を探すのは止めましょう。
 もう、チーズは無いのです。
 
 4.0は、全く違うゲームです。
 
 
 *** 最後に、また脱線 ***
 
 
 3.0系くらいデータが豊富だと(MtGでロックデッキが発生したように)、
デザイナの意図しないカオスが出てきて面白いと思うんだけど、
それは余りにもヘビーすぎるよね。
 万人が対応できるものではない。
 
 だからオレは、3.5は展開が終わった今が、ゆっくり腰を落ち着けて
遊べるようになったのだと思ってる。
 
 つまり、いまが最高の遊び時だと思ってる。
 
 今なら、追加サプリに怯えなくていいからね。
 必要な分だけ、決まった範囲から自分たちで選んで良いのだ。
 
 全部のルルブ(に加えて小物類)を運搬することは不可能なんだから、
誰かの家でプレイするのは大前提だ。
 であれば、そのゲームが絶版になっていようと構わないというか、
関係が全くない。手持ちのゲーム資源で遊ぶのみ。
 そして、日本語化された分だけで、数年遊べるほどの資源がある。
 
 どう? いまが旬の3.5を遊ばない?