13 Ex04 初心者対応と、やり甲斐と意地悪に関して

 
 
 あ、例によって前置きが長いよ。
 初心者対応は遥か彼方ね。
 
 今回予告的に一行だけ。
「ディアナ・ソレルは黒歴史という火を恐れる猿に過ぎないと、小生は見たなあ!」
 byギンガナム御大将
 
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 どのジャンルでもよくある話ですが、上辺だけ先達のマネをして失敗するってパターンがあります。
 
「昔はこうだった」
「俺はこうされた」
 
 初心を忘れて、やられて嫌だった事を引き継いでいく。負の遺産
 マンガなどで見かける、典型的なダメ先輩の例ですね。
 
 テーブルトークは、シナリオの目的を解決するのが目的になります。
 
 決して、マスタvsプレイヤの戦いではない。
 
※ そして同時に、プレイヤやキャラクタの目的(役割じゃない方のロールプレイ)も解決/実行しようとするわけですね。
 
 目的と、障害を乗り越えての解決。
 
 将棋であれサッカーであれ、どのゲームでもこの部分は同じです。
 王将を取ると言う目的。キーパーやディフェンダという障害。
 
 マスタは、より面白いシナリオの目的を作り、適切な難易度の障害を出して、解決を盛り上げるように企画します。
 
 繰り返しますが、マスタとプレイヤは戦うのではありません。
 
 サッカーで、キーパーやディフェンダが居ないと点を取るのはたやすい。
 これではゲームが面白くない。
 だからキーパーやディフェンダがいる。
 
 考えるまでも無いカンタンな理屈ですが、テーブルトークではこれを理解していない人が多かった。
 
 そういった人たちは、今では理解しているが、治そうとはしていない。
 少なくともD&D界隈では、治さない老害が多い。
 歴史の浅い趣味のせいか、初期の混乱と悪習の世代が、いまでも減益の老害なのだ。
 
※ 現役と減益は、言いえて妙な誤変換だから残しておこう。
 
 そんな彼らに教え込まれた「被害者」たちは、いままさに現役だ。
 
 2008/9/1の日記で遠まわしに書いたが、
 
・目的の解決を盛り上げるために、障害を出す。
・単に嫌がらせをする。
 
 これらは全く違う。
 
 上辺だけ先達のマネをして失敗する。
 盛り上げるための障害と、単なる嫌がらせの区別が付かないのだ。 
 忠義を解せぬ夕雲には分からぬのだ。
 
 障害がないとつまらないのは事実。
 だからとりあえず妨害してしまう。
 
 マスタとプレイヤどちらの視点でも表面的な失敗を避けられるし、運やPCの強さによって、結果的に成功に終わるパターンがあるので、区別が付きにくいんですね。
 
 そして、いつか失敗する日が来る。
 その時には、いままで積み上げてた「成功」がジャマして、何が原因で失敗したのか分からなくなっている。
 
「マスターは好きなだけモンスター出せるからなー」
 
 ええ、マスターは好きなだけモンスターを出せますね。
 でも、それは何のために出しているか、分かりますか?
 
「マスターは好きなだけモンスター出せるからなー」
 
 コレを言ってしまう人は、いまだに脳内がマスタvsプレイヤで戦ってる人です。
 
 洗脳されてしまった不幸は忘れて、グジグジ言ってる「被害者」から抜け出しましょう。
 
 抜け出さないなら……
 
 老害である。
 長年に渡るTRPGプレイヤとしての経験が、
 自身の老害であるという自覚をモルヒネのように麻痺させているのだ。
 
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 古いほうのゴールデンルールを掘り返して見ましょう。
 
「プレイヤは、何をしても良い」
「マスタは、なんでも出来るわけではない」
 
 これは、裏返して次の意味を持っていました。
 
「プレイヤは何をチャレンジしても良いが、成功するとは限らない」
「マスタは何でも出来る=万能の権限を持つが、ゲーム内で成立する範囲に限られる」
 
 テーブルトークは、プレイヤの行動宣言を受け入れるゲームです。
 だからこそ「何をしても良い」と後押しするのです。
 
 テーブルトークは、ルールとマスタの判断で行動の結果が出ます。
 だからこそ好き勝手をいさめる意味で「なんでも出来るわけではない」と念押ししているのです。
 
 昔のゴールデンルールは、黄金律的なゴールデンだったようですね。
 現行のゴールデンルールも見てみよう。
 
【ゴールデンルール】(用語:TRPG
GMの決定は全てに優先する」というTRPGの大原則。
(中略)
 もちろんこのルールは、GMが公正なゲームの管理に務めていることを前提にケアレスミスを補うものであって、GMの専横や怠惰によるルール誤用を擁護するものではない。
 
 こちらは、金科玉条、最も大切な決まり。おきて。こうした意味のゴールドですね。
 
 他所の国の言い回しも確認してみよう。
 
“Well, your DM is always right, but the rules are on your side” 
“キミのDMは常に正しい。しかしルールはキミの味方だ”
 
 後半を無視する、あるいは知らない人も多いが、これもDMへの盲目的な服従を強いるものではない。
 
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 さて、話がそれたので元に戻そう。
 
 マスタが、あるいはシナリオが用意した障害は、プレイヤへの嫌がらせではなく、困難を経て目的を達成するという、達成感(面白さ)のためです。
 
 しかし、上で繰り返したように、理解せずに惰性で障害物を出すだけの人も居ます。
 というか、むしろその方が多い。
 
 D&Dであれば、各クラスの特徴を活かした障害を出すのが望ましい。
 
・殴り合いの戦闘という障害。例えばモンスター。
・スキルが必要な障害。例えばワナ。
・魔法的な解決が必要な障害。例えば特殊地形や解呪。
 
 これらはレベルからおおよその難易度が決められますので、比較的カンタンに決められる「作業」です。
 
 普通にコンベでのマスタをするなら、障害を出して、出来ればキャラクタのパーソナルにも絡めた対応をして、ゲームを楽しもう。
 できれば、戦闘だけで一杯一杯にならないよう、少し余裕を見てね。
 
 とまぁ、ここまでが、ごくフツーにプレイする時に言いたいことね。
 
 やり甲斐をだし、達成感を高めるための障害の配置と、
 意味も分からず「俺のときはこうだった」と言って出す障害。
 これらは、全く違う。
 
 普段はトラブル起こさないかもしれないけど、起きたときに大惨事系だから注意してね。
 
 ホイでは次。
 初心者対応のときはどうなるか、考えてみよう。
 
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 初心者卓に、ベテランとして入る場合を考えよう。
 あるいは、自分がDMでベテランも来たと考えよう。
 
 素直に「今日はサポートお願いします」と言うよね?
 
 じゃぁ、サポートするには、あるいはしてもらうには、どうしたら良いだろう?
 
 例えば、ベテランは術者をやって、初心者の命中やダメージを上げたり、回復や知識判定を受け持ったりするよね?
 
 具体的には、落下対策のフェザーフォールは、使用タイミングから言って生スロットじゃないと無理。
 これは初心者には難しい。ベテランがやろうよ。
 でも、生スロットは有限だから、巻物で済む呪文は金で解決しよう。
※ というか、金で解決するしかない。
 
 具体的には、クリティカルで死んだり、ホールドなどでゲームから除去されるのはツライ。
 そういうモンスターを出さないことも重要だけど、対策としてクローズウーンズやベネディクション、リサージャンスがあると便利だ。
 これは追加サプリが必要で初心者には無理だ。ベテランがやろうよ。
※ というか、サプリで解決するしかない… ことが多い。
 
 普通はベテランPLに協力を頼むし、頼まれた方は上記のような対応をしたいよね?
 
 じゃぁ、上記のような対応があると分かった上で、DMはどんなレギュを示すべきだろうか?
 
例1:コアのみ。単発だから消耗品5倍。
例2:サプリ使用OK。但し初心者が使うキャラは複雑にならないよう配慮。
 
 消耗品5倍って言われると、サポート用品買えないのよ。高すぎて。
 サプリがあれば、出来るサポートが増えるのよ。
 
 初心者サポートを頼まれたら、DMイジメとか出番奪うとか、しないから!
 
 マスターvsプレイヤは、老害思考の被害妄想ですからっ!
 
 2008/7/2の日記から抜粋します。
 
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 D&Dは、ゲームとしても商品としても、サプリが使われる方が自然であるように作られています。
 コアのみというのは、動作する最低限の環境であり、今後の商品のためにわざと隙間がある状態で用意されているのです。

 
 ***
 
 コアは動作の最低環境ですから、どんな状況も一応対応できますが、それには高いレベルや複数のクラス、あるいは大きな予算が必要になったりします。
 
 具体的には、必要な呪文LVが高い、クラス固有の呪文や能力、高額なアイテムなどです。
 
・初心者対応ですから、レベルは抑えられています。
 使える呪文のレベルも低く抑えられます。
 
・初心者対応ですから、卓の人数は限られています。
 微妙なクラスを混ぜる余裕がありません。
 
・初心者対応ですから、コアのみです。
 サプリがあれば、サポートする選択肢が生まれるんです。
 
・単発ですから、消耗品は価格5倍です。
 予算という壁が、出来るサポートを出来なくさせるんです。
 
 さあ、ここまで雁字搦めにされて、あなたはどのくらいサポートできます?
 
 あー、いや、私なんかより上手いプレイヤは沢山居ますから、普通の人はサプリが無いと困るなんて弱音は言わないかも知れませんね。
 
 でもね、俺には無理。
 
 つーか、初心者対応卓は、DMとベテランがお互い助け合うべきでしょ?
 なんで規制方向に行くわけ?
 
 例えば、初心者にバーバリアンを渡すとしましょう。
 レイジが一回しか使えないと、投入タイミングで悩みますよね?
 じゃあ、回数追加があったら楽だよね。最初の一回とボス戦で使って、まだ余るもの。
 ほら、複雑化せずにラクになった。
 
 例えば、ベテランに術者を渡すとしましょう。
 温存特技があれば、貴重な生スロットを取って置けますよね?
 領域特技があれば、全体への防御ができますよね?
 
 例えば、珍しい敵を出したいとします。
 DR5/善 など、事前の対応が難しい場合もあります。
 領域特技があれば対応できます。
 
 例えば、キャラクターのロールプレイにこだわってゲーム内時間が少なくなりますよね?
 全員の移動速度を上げる方法があれば、やり繰りできますよね?
 呪文でもいい。PHB2のチームワークでもいい。札束でもいい。
 縛りがきつすぎなければ、何か対応できます。
 
 サプリを解禁することは、怖いことじゃなくて、穴を埋め、助け合うことです。
 
「ディアナ・ソレルは黒歴史という火を恐れる猿に過ぎないと、小生は見たなあ!」
 
 サプリは、あなたを傷つける火ではありません。
 そもそも、あなたは戦ってないのです。
 
 猿が居るとすれば、意味を分からないまま先達の猿真似をしている輩だけです。
 
 だから、俺にToB(サプリ)使わせてくれ。
 結論はそう言う事です。