ベーシックゲーム

 
 ベーシックゲームを持ってコンベへ。
 普段はかなり多いがトコなのだが、コミケ2日目という事もあって人数は微妙に少なめ。
 会長だか代表だか、その辺の人が 「珍しく出席」 という事らしい。いや、そんなん壱参加者には分からんなりヨ。2ちゃんでちょっと騒がれていたのを気にしていたのだろうか。
 
 とにかく卓分けが終わり、今回はかろうじて卓成立。PL3名。
 しかし、言っちゃ悪いがマトモなマスター紹介が出来る人が少ない。今回に限らず。んで、マトモそうなマスターは私の好きなシステムをしないのだよなぁ。
 
 ベーシックゲームなのでキャラクタを選んだら開始できるが、空腹だったしコピーも取りたかったので早めに昼食。
 プレイ開始はダンジョン内部から(笑)
「君たちはダンジョンの前にいる」より一歩進んだ設定ですね。
 お題としては、盗まれた指輪を見つけてくることだったが、PC一同は指輪を見つけても、行ける所まで行こうの精神でずんずん進みます。
 最初の遭遇はコボルト2匹。楽勝で倒して周囲を見ると宝箱が落ちている。ベーシックゲームにはフロアボードが付属していて、そのボードに書かれている物は単なる背景ではなく信用して良い物体なのです。初期状態だけのこととはいえ、陰の方向もあっているのが芸が細かいです。
 フロアボードは4枚両面の合計8面になっていて、8面全部使えばシナリオ終了です。
 
 1枚目はコボルト2体だけで終了。PL的には何事も無く見えますが、聞き耳や視認との絡みで立ち位置が2種類提示してあるのが好印象です。板番号1A。
 
 2枚目に突入すると、上級ルールブックへ移ります。
 わずか4ページしかなかった (つまり紙一枚の2つ折りだった) 基本ルールブックから大きく変わりますが、全くのTRPG未経験者ならともかく、ドイツもコイツも経験者なのでむしろスムーズに進みます。
 このボードは研究室と続きの間で、研究室には色々と仕掛けがあります。
 例えば、テーブルの上の出来かけの薬品をいじると、d90+d10で20以下だと爆発するものが出来てしまいます。幽霊の居る鏡や本棚、鳥かごや宝箱みたいな衣装箱などなど、そんな感じです。
 運良く爆発する薬を手に入れ、ちょっとボケてる鏡の中の幽霊と歓談して情報を手に入れます。
 続きの間は、大き目の魔法陣が書いてあるんだけど、これはPfEにだったら良かったのになぁ。邪悪な人を通行止めにする効果が得られるから、シナリオ的にも誘導というか、推理の足しというか、とにかく使えるモノになるのに。
 ここではトログロダイトが一匹。右と下 (東と南) へドアが続きます。下は幻影のドラゴンですが、鏡の中の幽霊にドラゴンが居ると聞いていた (というか、元の住人が倒そうとしていたと聞いていた) ので、みんな信用してしまいます。そんなわけでパスして右へ。
 板番号は2Aでした。
 
 3枚目は場つなぎの部屋。実際には、DR持ちモンスターを出す意味があるのでしょう。スケルトンで叩き5のDRです。
 これはクレリックが頑張ったりして通過。続いてスケルトン狼とエルフのドア探しですが、狼に気を取られて気付かずスルー。
 板番号は4Bでした。
 
 4枚目は、最初の部屋の板をひっくり返して1B。
 空っぽの大きな部屋の中に小部屋があり、その中にコボルトが8匹詰まっています。
 射撃とメレーが組み合わさった結構いやな部隊です。
 苦戦させられるかと思いきや、DMの目が走らず結構あっさり目に撃退される。
 この部屋は左右に続くが、右は土砂崩れで行き止まり、左は、キノコ部屋である。ボード設置の関係で、幻影のドラゴンを見せる際に他の部屋の間取りも分かるので、ここがキノコの部屋で、なおかつドラゴンの部屋へと続いてるのも知っているのです。
 キノコはうかつに漁るとヤバイのですが、それを知ってかしらずか避けられました。

 しょうがないから5枚目のドラゴン(幻)と、いっちょやったるかいと一念発起したのですが…
 実際には幻術掛けただけのコボルトなんで、先の研究室の爆薬1つであっさり死亡。正体がばれました。
 次のガラクタ置き場は、足場の悪い状態を体験してもらうためのスペースらしいです。
 ダイアラットが隅の穴からランダムに登場するのですが、PLが上手い (美味しい) 目を出して背後から奇襲。
 長居は無用って事と、狙い通りの足場を経験してもらって、ここは終了。
 ボードは3Aでした。
 
 6枚目はただの通路。
 右側は、DM自作用に「先が見えないといっておけ。先はアンダダークだ」と書いてありますが、土砂崩れってことにしてスルー。怪しい石像があったが、ミスリード用に何も無いものが配置されている位に考えた。
 このセットはボードの並び替えでダンジョンが色々作れるってのも売りの一つなので、この様な通路タイルも重要だろう。ボードは2B。
 
 7枚目は、いかにもな棺おけ部屋。ア〜ンド祭壇。
 ここでは武器の調達も出来る。グリフのワナはちょっと強烈で、1LVにはオススメできない。
 まぁ、無視しても経験値もらえるシステムだから、痛い目にあって覚えてもらうってトコですかね?
 
 8枚目は、ラスボス前の戦闘と、ブーストと、ひっかけ。
 ボス前戦闘は軽〜くオーク2体。しかし、DMサイドはかなり焦っていた。
 なぜならば、このままだとボス前にLVアップが出来ないからだ。もう一声経験値が必要だ。ではどうするか…
 このオークを強化しよう。つーか、確実に出会ってくれる経験値源はもはやここしかない。
 そんなわけで、ただのオークが急遽バーバリアンに変更。レイジも使う。
 一応、クラスもちモンスターの存在をほのめかすと言う事でベーシックゲームの精神にも反しないはずだ。
 PL一同をおののかせつつも、戦闘はかろうじて勝利して終わる。
 コレにて、ほんの数十点の差で全員LVアップ。万全の状態でブラックドラゴンに挑むことになりました。
 いったん帰って装備も切り替えて、ファイターはフルプレートを購入。パーティ資金の大半を投入した、大きな賭けです。
 ちなみに、ブーストは判断不能と見られて無視。引っ掛けは引っかかりすぎてスルーされました。
 
 最後のドラゴンは、1枚目のボードの下のほうの部屋に居ます。
 この戦闘は、何もかもが上手く行き過ぎていて、まるででっち上げの読み物のようですが、全員がオープンダイスでうそ偽り無くプレイした結果であることを予めお断りいたします。
 
 PLたちは非常に慎重で、事前のブースト呪文かけさえ、2部屋離れてドアを閉めて行った。
 まずはローグの偵察。この忍び足は出目20で、聞き耳+15あるドラゴンがまさかの敗北。位置と地形を把握した。これが最初の幸運だった。
 ドラゴンはコインの山の上で寛いでおり、隙は大きい。足場が悪いのはお互いにとってどう転ぶか分からないが、ドラゴンの初動が制限されるのはありがたい。
 ブースト呪文はブレスとPfE。持続時間をカウントし、準備段階からラウンド進行になった。
 PfEが掛かった時点で行動開始。ドラゴンの部屋の前で打ち合わせどおりドアを開く。
 ここで運命のイニシアチブ。PC側は全員行動順を決めてあるので (そのように行動順番を並べたので) ドラゴンの出目が全体の命運を分けるのだ。
 果たして、ドラゴンのダイス目はPCに遅れた。第2の幸運だった。
 ドラゴンの位置は宝の山の上でランダムに配置すると宣言していたので、逆L字型のコインの山の上の位置を決める。d3だ。結果は中央。最もスニークしにくい嫌な位置だった。5フィートステップもやりにくい。
 
 第1戦闘ラウンド。
 不意打ちを考慮し、DMは1ラウンドの完全な行動をPLに与えた。過剰なボーナスとも言えるが、事前準備に全力を尽くしたPLの行動は報われるべきだと判断した。
 2LVで10HDのドラゴンと立ち向かう勇敢なPLに敬意を表した。
 
 ドアを開けたのはソーサラー。彼が最も攻撃力が低いからだ。
 ローグが飛び出し、爆薬のビンを投げる。手榴弾式武器なので問題なく命中。上手く事が運べば死を賭して挟撃に向かう予定で、それを踏まえた位置取りだ。
 次にクレリック。ドラゴンの位置の都合上、仕方なくダブルムーブで接敵のみ。ファイターも同様。
 彼らは敢えてブレスの射線上に残った。ソーサラーが有り金をはたいて買った酸防御のポーション
飲んでいたので、ブレスをわざと喰らう予定なのだ。
 果たして、ドラゴンは誘いに乗った。
 
 第2戦闘ラウンド。
 ソーサラーがマジックミサイルを撃っても、ローグが最後の爆薬を投げても、ファイターに斬られても、クレリックに叩きのめされても、ブレスの射線を確保したのだ。
 PL側の唯一の誤算は、ソーサラーが射線に残ってしまった事だ。
 ブレス。DMが6d4を振る。ソーサラーのHPは僅か9だ。
 出目を計算する。
 結果は13だった。
 ファイターがSTを行う。失敗したが、防御のお陰で3ダメージに過ぎなかった。
 ソーサラーがSTを行う。出目は15。目標値は17。そして敏捷は+3だった。
 第4の幸運だった。ダメージは6。立っていられる。
 
 第3戦闘ラウンド。
 ソーサラーはマジックミサイルを撃って一歩引いた。
 ローグは挟撃位置が取れないので弓を撃った。
 クレリックとファイターは殴った。
 必死だった。DMが振ったブレス補充は2。最悪、次でブレスだ。
 ドラゴンはファイターにフルアタックした。余裕を見せてパワーアタックを5点入れ、全て外した。ドラゴンは自分の計算が甘いことを思い知らされた。
 
 第4戦闘ラウンド。
 ソーサラーが前に出た。足止め袋を投げるためだ。攻撃手段が残り少ない現状で、最大の援護だった。
 対するドラゴンのSTは1。これでドラゴンは自由に動けない。
 第5の幸運だった。
 ローグは射撃を継続した。
 ファイターは斬りかかった。瀕死だが引かなかった。
 クレリックは引いた。逃げたのではなく、ファイターを回復する為の、呪文を唱えるための後退だ。
 ドラゴンはブレスを吐けなかった。PLたちの必死の位置取りは射線に2人残すことは無かった。1人にブレスでは無駄が多すぎる。
 バイトこそ外れたものの、ツメとハネで合計3発喰らった。瀕死だ。
 しかし、ファイターは生き残った。PfEのお陰で彼のACは見かけ上21になっている。足止め袋もペナルティを与え、実質的に23だった。命中+12のバイトが当たらなければ、その他の+7の攻撃が当たるはずも無い。
 彼は生き残った。
 PLたちの執念が、戦闘の天秤を水平にさせたのだ。
 
 第5戦闘ラウンド。
 ソーサラーは最後のマジックミサイルを撃った。ゼロLV呪文はドラゴンには効かない。
 ローグは射撃を継続した。
 クレリックはファイターを回復した。最大値。第6の幸運だった。
 勢いを得たファイターはダメージを与えた。
 ドラゴンはただ一人手の届くところに居るファイターにフルアタックした。当たればブレスよりダメージは大きい。
 しかし、全て外れた。ウソのような光景だった。第7の幸運と言えるだろう。
 
 第6戦闘ラウンド。
 ソーサラーは位置を変えた。次にスクロールを読むためだ。予算はポーションにつぎ込んだ。有効なアイテムも使った。もはや出来ることはこれしかない。
 ローグは射撃を継続した。挟撃しに行っても当たらないし、一撃で死亡してしまう事が分かったいまでは、撃つことしか出来ない。
 クレリックは一歩引いてポーションを飲んで自分を回復した。いま、前衛の自分が倒れるわけには行かない。
 ファイターは斬った。愚直に斬り続けた。彼に出来る最大の仕事だった。
 ドラゴンはブレスを吐いた。
 目標は、ファイターと、スクロール取り出しのために射線に入ったソーサラーだった。
 出目は僅か9。異常に低い。これも幸運と呼べるだろう。
 ファイターはノーダメージだ。
 ソーサラーのSTは出目で19。彼は生き残った。HPはゼロだった。
 
 第7戦闘ラウンド。
 ソーサラーは、いま動けばHPがマイナスに突入する。その後は回復できなければ死だ。
 しかし、スクロールを読んだ。最後の攻撃をした。そして倒れた。
 自分が倒れても、パーティが勝てば止血してくれる。負ければ結局死ぬ。であれば、前のめりに倒れるべきだ。迷わなかった。
 ローグは射撃を継続した。命中しただけだった。彼は単なる命中ではなくクリティカルを欲していた。
 クレリックは再び殴りかかった。ソーサラーの行動に後押しされたかのようだった。
 ファイターは斬った。終わりが見えてきた。
 ドラゴンは、ただ一人手の届くところに居るファイターにフルアタックした。当たればブレスよりダメージは大きい。しかし、ファイターは倒れなかった。
 当たるはずのバイトが当たらず、目の前のファイターを全く落とせない。DMのバイト攻撃は、まるで6面体を振っているかのようだった。
 
 第8戦闘ラウンド。
 ソーサラーは止血チェックに失敗した。
 ローグとクレリックは外した。
 ファイターは命中させた。しかも最大ダメージだ。
 ドラゴンはファイターにフルアタックした。今度は2発当たったが、しかしダメージダイスはDMを裏切った。倒れない。
 
 第9戦闘ラウンド。
 ソーサラーは止血チェックに失敗した。
 ローグとクレリックはまた外した。そもそも、戦闘系でない二人には厳しい相手なのだ。
 ファイターは命中させた。とうとう倒した。
 ドラゴンのHPは85だった。2LVで戦う相手ではない。しかし倒した。
 PLの執念が勝った。正に、もぎ取った勝利だった。