04 スキル1
スキルの新しい使用方法は、この本の大きなメリットの一つです。
ヒーローズ・オブ・バトル(だったかな?)や、DMG2、PHB2など、チームワークを扱ったルール / サプリの先駆けというか、試案のような物ではないでしょうか?
昨今の国産ゲームと違い、パーティを大事にするD&Dですから、この手のパーティに対するメリットはありがたいですね。
まぁ、厳しいことを言えば、パーティを大事にするメリットを寄越さないと、パーティバランスどころか、パーティを組む事すら考えないぞと、こう言う言い方もあるわけですね。
偉そうとか冷たいとかじゃなくて、単純に収支を考えると、何もメリットが無い行動を選ぶ奴なんていない。
だから、パーティを組ませたければメリットで誘導するのは、デザインとして当然の帰結でしょう?
落とし穴の上には宝物を置く。だから誘導されて引っかかる。
パーティを組ませたければ、パーティのメリットを用意する。そして落とし穴は作らない。
暴力や脅迫以外の手段で他人に何かさせるには、何かを提供しろと言うことです。
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小難しい話はこの辺にして、実際の活用を考えましょう。
複数の仲間への、技能の援護
技能5ランクで、自分は4ペナを受け、仲間全員に2ボーナスを与える。
技能15ランクで、自分は10ペナを受け、仲間全員に5ボーナスを与える。
指導教官みたいな感じですね。あるいは、現場監督とかそんな感じ。
このルールがあれば教官役の鬼軍曹が再現できます。
自分のスキルに+5もされたら、指導者の実力を認めないわけには行かないですよね?
あるいは、大勢が馬で移動する時など、騎乗の上手い人が全体をサポートする感じですね。
技能の相乗効果の、他人への付与
xxが5ランクあると、yyが+2される。
これを他人に対して与えるわけですね。
上の援護と違って、一人に+2しか出来ませんが、同じ技能を持っていなくても援護できる点が便利に使えるでしょう。
味方への、戦闘の援護
LVが高くなると、ただの援護では大した助けにならなくなります。
そこで登場するのが、この強力な援護です。
敵のACが50や60を超えると、サポート役の命中では中々当らなくなってしまいます。
40を超えても当らないようだと、正直絶望を感じるでしょう。
でも、援護の40で味方への+5になるなら、これはかなり有効な行動です。
メインファイターに+5(恐らくは挟み撃ちも入れて+7)すれば、有効にならないとおかしい。
あるいは、味方のACが+5されれば、必ず助けになるでしょう。
なにせ無印だから、接触ACが上がるわけですし。
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技能の、新しい使用方法
威圧を、魅力ではなく筋力で行うとか、そんなバリエーションを紹介するヤツですね。
大全の他の本にもあるので、もう一度確認すると良いでしょう。
ぶっちゃけ、スキルのブーストはかなりできるので、ペナルティによる素早い作業とかは、無いと困りますよね。
日本語環境に入ってきてくれて助かりました。
エピックレベルハンドブック(ELH)の例の表とか、欲しいですよね。
ミクシの D&D R200CULB の方では、結構簡単に60とか80とか出ていますし、これらの技能の使い方は色々と役に立つでしょう。
解錠(開錠ニ非ズ)
+20はやり過ぎ。正直無理。
正確には、毎回そんなに予算かけていられないです。
解読
暗号システムの作製はありがたいルール。
また、目の前の現物だけでなく、暗号システム自体の解読という視点も助かる。
しかし、丸1日掛かるのは勘弁だなぁ。
例を挙げれば、ホームズが「踊る人形」を解析したシーンでしょうか?
隠れ身
最も使用頻度が高いだろうルール。
でも、ルール運用として重たい。
人込みに紛れるは、正直笑った。そりゃまぁ、一般人は引くよなぁ。
遮蔽から遮蔽へは、面倒くさい。3.0の遮蔽ルール援用でいいじゃん。
尾行は、出来が良いように見える。ゴルゴ13はいつも「尾行/監視されていると疑っている」だろうなぁ。
軽業
伏せからの立ち上がりは、35出しても、まだ機会攻撃を受けるのが厳しい。
落下からの軽減は、ジャンプでも減らさせて欲しい。
疾走は、-20は厳しすぎ。
鑑定と偽造
魔法なし世界とか、ぶっちゃけ現代物では需要が高いだろう。
怪盗モノとかね。
現代物で偽造だと、下準備からがシナリオになってしまって大変な感じ。
ギャラリーフェイクの偽札の話とかが参考になるかな。
交渉
交渉は、もういいよ。危険だから触れない方が良い。
値引きの危険性は分かっているらしく、「ゲーム時間を食うなら却下しろ」と書いてある辺り、苦労が忍ばれる。
真意看破
敵の戦力を見抜くと言われてもなぁ。必要な数値が高すぎて、あまり現実味が無い。
《戦いの勘》特技の雑感でも触れたが、怪物がメインの通常のD&D世界では、見て強さが判断できない状況が少ない。
というか、(アメコミ的に)強いやつは強い外見をしているので、この判定の意味がない。
この使用方法が役立つのは、例えば忍者モノや探偵モノ、三銃士的スワッシュバックリングな世界など、敵の強さが種族ではなくLVで決まる、モンスターの少ないワールドセッティングに限られるわけですね。
この使い方に関しては、新しい遊び方の土台が出来たと受け止めるべきでしょう。
水泳
妥当な感じかと。今までが厳しすぎたと思います。
製作
素早い製作は、目安として分かりやすいが難易度としてやりすぎな感じ。
毒に関しては、よーわからんです。
生存
最初に挙げた、「複数の仲間への、技能の援護」で、最も良く使う事になるでしょう。
う〜ん、難民の誘導とかで使おうと思ったんですが、人数によるペナルティが大きいですね。
これは結構厳しい。レンジャーやドルイドが何人もいないと、すげー遅くなりますね。
三国史とか、指輪のアレとか、苦労が伝わってくる感じ。
装置無力化
これも要求数値が厳しい感じ。でもまぁ、装置無力化だから仕方ないか。
脱出術
技能自体の出番がないよなぁ。
狭い場所を通り抜ける(スクイーズ)では使うけど、10ペナ受けて成功する物でもないしなぁ。
治療
死因の特定に10分もかかるとは知らなかった。
あと、1日ごとに+5は構わないけど、限界を決めておいて欲しかった。
灰だと無理とか、最大で白骨化している場合の xxペナとかそんな感じで。
登はん
20ペナで、登はんの最中のペナルティが無くなると言われてもなぁ。
専門職以外では無理だし、魔法やその他の方が早いよ。
専門家だけが忙しくて、他がヒマという状況を生みやすいが、まぁ、仕方が無い。
動物使い
訓練師の再現にはいいが、いまさら警察犬カールでもないよなぁ。
縄使い
これも、技能自体の出番が無いなぁ。
平衡感覚
足払い対策は嬉しいけど、やはり難易度が高すぎる。
仮に10LVだったとして、スキルが最大でも13ランク。10ペナで実質3。相手は足払い強化で+4されているわけですから、元々分が悪い。
そして、バランスを最大にする人なんてほとんどいないわけですよ。ローグであっても、捨てるとしたらバランスですし、せいぜい5ランク入れて状況ボーナスにする程度。
足払いが強すぎるこのご時世ですから、正直、ペナなしが正解だったんじゃないですかね?
《追加の芸》
技能のページにフィートを追加するのは止めて欲しい。
これはPCが取るのではなく動物が取るフィート。
正直、芸は充分数があるので要らないです。ドルイドの相棒ならそれだけで増えますしね。
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技能による色々なサポートは、強力な魔法があれば、正直不要です。
魔法があると助かる、ではなく、そもそも判定不要にしてしまいがちです。
しかし、D&Dのように、必然的に人数の多くなるゲームでは、多人数である事をメリットにしないと、ゲームとして宜しくない状況を招きます。
専門家以外が、ヒマになったり、邪魔になったりするのです。
ヒマはともかく、邪魔はまずい。
むしろメリットでないとヤバい。
また、D&Dは、実はd20システムなので、幅広い対応力も求められているわけです。
(本当なら基幹であるd20からD&Dに還元されるべきですが、現実には立場が逆転してます)。
ですから、例えば魔法が無い世界、あるいは極端に少ない世界のことも考える必要があります。
例を挙げればこうです。
三銃士のような、技と知性がメインで、鎧と魔法が無いセッティング。
忍者もののような、技と集団がメインで、鎧と魔法が少ないセッティング。
特殊部隊や、3姉妹怪盗モノ(笑)のようなセッティング。
古代ギリシャのレギオン、ヴァイキング、パイレーツ…
ちいさな集団を率いる際の、ちょっと役立つ技能ルール。
誰かが誰かを助けるルール。
これらをフォローし、メリットを与えるルールがあると、ゲームの幅が広がると思いませんか?
とは言え、アメコミのヒーロー達って、チームワークないよねぇ…
特にX-MENは無さそう。あの人たち、場当たり的だし。
アヴェンジャーズ(キャプテン・アメリカがリーダーのヤツ)はマシな方かな?