08 おとなのしくみ
01回は、メイクとPHBの読み飛ばし方を書きました。
02回は、レベルアップに触れました。
03〜04回は、前衛を例に挙げ、必要な数値がどのくらいか、さまざま見てみました。
05〜06回でフツーっぽいパーティを挙げ、
07回で要素を洗い出してみました。
まずはキャラの作り方を解説し、
ついで、冒険者パーティに何が必要で、
その要求水準はどのくらいなのかを説明をしてきたわけです。
結局のところ、最低4名必要で、出来れば5名欲しい。
前衛(クラスは比較的自由に選べる)と、
秘術使い(結局ウイザードに落ち着く)と、
信仰術使い(結局クレリックに落ち着く)と、
技術系(ローグを軸に色々混ぜる)。
こんな風になるわけです。
5人目は、異なるタイプの前衛か、支援系が入るでしょう。
次回からは、上手な、あるいは巧みなキャラメイクに関して説明していきますが、その前にサプリ導入に関して述べておきます。
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おもちゃ屋さんの商売というのはごく単純で、最初に変形しないロボを出して、そのあと、大きくて変形するロボを出します。
店先でこんなやり取りを見たことはありませんか?
「アレ買って〜〜」
「もう持ってるでしょ」
「コッチは変形するんだよ〜〜」
ま、ありがちなハナシですよね。
最近は最初から高額で変形するヤツを売っているようですが、その後より高価でより出来のいいのを出してるんで、同じ事です。
D&Dは、ゲームとしても商品としても、サプリが使われる方が自然であるように作られています。
コアのみというのは、動作する最低限の環境であり、今後の商品のためにわざと隙間がある状態で用意されているのです。
使えるクラスと使えないクラスがあるからこそ、次のサプリを買う価値があるのだし、使えるクラスをドンドン強化すると、強さのインフレが起こって商品の寿命が短くなります。
逆説として、サプリで強化されないと劣るクラスがあるコトが立証されているわけです。
商品寿命とかサプリの売れ行きとか、そういった部分のために、最初は弱いクラスがどうしても必要なんですね。
結果として、サプリで登場するのは次の要素です。
・弱いクラスの強化
・コアより容易なxx対策の追加
・特化したクラスの追加
・買いたくなるような美味しい強化データ
見ての通り、必然性から出てきた内容で、しかも実際のサプリと一致する内容ですよね?
一つ分かりにくいのがあるので説明を追加します。
・コアより容易なxx対策の追加
これは03回で少し触れましたが、サプリ追加の視点で見ると、もう少し奥深い部分があります。
上で、強化を繰り返すと強さのインフレが起こって商品の寿命が短くなると言いましたが、この 「xx対策の追加」はインフレを起こさず強さを上げる方法の一つです。
例えばワーラットは(オオカミ男のネズミ版)銀の武器を使わないとダメージを15点も減らします。
15点ってのは、筋力18のファイタがグレソで攻撃しても、出目が平均値だと無効化される数値です。
レイジして筋力22にすると、1点超えるかな。
では、この厄介な敵をカンタンに倒せるようになったら、強くなったと言えないだろうか?
DMG(つまりコア)だと、高価で手間のかかるシルバーシーンや銀製の武器が掲載されていますが、追加サプリでは、より安価でより便利な武器カプセルが登場したわけです。
シルバーシーンだと、まず最初に片手を開けて取り出して(移動アクション)、次に塗布して(標準アクション)、それから握りなおして攻撃です。
早くても丸1ラウンド掛かりますよね。
剣と盾だと、剣を落として片手を開ける必要があります。その後に拾う動作が必要となると、丸々2ラウンドの浪費と、機会攻撃を受けることになります。
これが武器カプセルだと、手元のスイッチ操作でOKです。即行アクションのみで、剣と盾で手がふさがっていてもOK。
どうです? インフレを起こさず、強さが上がっていますよね?
ワーラットの例だとダメージが減るだけですが、これが非実体だとさらに深刻です。そもそも当たらなくなるからです。
これも武器カプセルで対策できるのですが、武器カプセルが無い
コアのみの環境だとどうなるでしょうか。
03回の時には注釈でマジックミサイルのワンドで解決するように書いていますが、敵のHPが大きいとそうも言っていられません。
コアのみで用意できるのは、《無視界戦闘》で当てやすくするとか、大抵はアンデットだから退散を行うとか、あまり効果の無い方法だけです。
※ コアのみだと退散は価値が薄いので見捨てられます。
ここで気づいて欲しいのは、対策が取れないと困るのは、DMも同じくらい困っている ってコトです。
銀とか非実体とか、あるいは善属性。そういった防御能力を持った敵を出しにくいってコトです。
シナリオに書いてある敵をフツーに出しただけでいちいち苦戦されるのは面倒なんですよ。
PCが対策してくれれば、MMのモンスターを自由に出せるんです。
というか、サプリ使わせずにこういった防御能力のある敵を出して苦戦させるのって、掌で躍らせてる感が強くない?
自作自演とは違うけど、なんか不公平感があります。
別におれサドっ気ないっつーか、むしろキライなんですけど。
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いかがでしょうか。
サプリ導入の実体は 「強さ」 ではなく 「自由度」 の向上です。
どうです? サプリ追加しませんか?
色々と面倒が省けますよ?
ドラゴンのブレス対策に、人数分のレジストエナジーを用意するより、集団用のマス〜〜を使いませんか?
1Rで全員に掛かるから、どのエナジーか判明してからでも全員に行き渡りますよ。
ライトニングボルトを連発するソーサラーが出てきても、対策が取れるってコトです。
DM視点で言えば、そういう敵を出せるようになる。
つまり自由度が上がる。
使えないクラスが使えるようになれば、クラス選択の自由度も上がります。強さだけが上がるわけではない。
それでも、不自由なコアのみで遊びたいですか?
え?
データが多いと管理しきれなくなる、ですって?
07回で要素抜き出しましたよね?
アレを見てください。
結局のところ、D&Dで追加するデータなんて、あそこに書いた数行のモノ以上ではないんです。
数字がでかくなるだけ、あるいは減らしたり防いだりするだけ。
プレイヤーにぶっちゃけトークで聞いてしまえばいいだけ。
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もちろん、単純に強くなるデータもあります。
でも、それはごく一部です。
つーか、MtG 出してる会社が単純な上位互換データをホイホイ出すわけ無いんですよ。
…いくつか出してるケドな…
とまぁ、色々書いたけど、結局のところD&Dでコアのみってのは不自由で制限アリってコトなワケよ。
オレの思い込みとか決め付けじゃなくて、構造からそうなってる。
※ コアのみではどうにもならないとは言っていないので注意。
ただ、高いレベルや上手な連携などが要求されるので、結果としてよりメンドウになるのです。
※ 例えばシルバーシーンの例だと、前衛の武器に塗ってあげれば、 敵の出現から対抗手段の達成までのロスが減るけど、これを実現 するのはプレイヤーの熟練度的に難しいワケです。
自分が楽をするためにも、DMに楽をさせるためにも、どんどんサプリを使ってくれ。
いやマジで。
サプリ使用は、大人の陰謀で仕組まれたコトなんですね。
でも、結果的に乗っかった方が良い陰謀です。
今回は、そんな内容でした。