18 Ex07 調査呪文など

 
 
 リプレイの若獅子三巻でも触れていますが、ある程度以降のプレイでは、呪文による強力な調査を行えます。
 
 およそ8LVくらいのプレイから、次のような流れと言うか、確認事項が生まれます。
  
 まず依頼を受けますが、ある行動の可否確認のために、2つ確認します。
 

1:時間の余裕は?

 A:ある。30分か、2時間か、それ以上かで変わります。
 B:ない。30分もない。今すぐ出動しなければダメ。
 

2:周囲への危険度は?

 C:ない。例えば宝探しや人探しなど。
 D:ある。無関係な第三者を含めて大量の死人が出る。
 
 A+Cは、調査や準備に充分な時間をとるでしょう。
 
 A+Dは「xxの復活阻止」や「大軍の侵攻」(赤い手は滅びのしるし)ですね。
 
 B+Cは、証人保護やレア素材探しで、競争相手がいるのでしょう。
 
 B+Dは、天変地異くらいです。すぐトラブルが到着するので例外とします。
 
 さて。
 上で言った「ある行動」とは何か、分かりましたか?
 
 それは 「呪文の準備が可能かどうか?」 です。
 
 なぜ、これほど調査呪文を使いたがるか?
 それは、D&Dの占術呪文は神格に質問が出来る、非常に強力な調査手段だからです。
 
※ もちろん、呪文使いPCばかりが不利益を受けないようにする意味もある。
 逆説として、PC間の平等を期するなら呪文の準備時間は与えるべきとも言える。

 
 具体的には以下の2つの呪文になります。
 
・デヴィネーション(Clr4):
「Yes/No」か「不明」 で返事をしてくれる。物質要素が必要。
 
・コミューン(Crl5):
 目的へのアドバイスを与えてくれる。経験値が必要。
 
 見ての通り呪文LVが4と5ですから、8LVのPCなら自分で唱えたり、巻物を失敗なく使うことが可能です。
 ※ 術者LVチェックは1でも失敗せず、1で足りるからです。
訂正! 術者LVチェックは、巻物の術者レベル+1 なので2必要でした。
 ツッコミありがとうございます。

 
 もちろん、自分で唱える必要すらなく、呪文サービスを受けることも可能です。
 4LV呪文は280gp(別途、物質要素分25gpを追加)。
 5LV呪文は450gp(別途、経験値分500gpを追加)。
 
 見ての通り、5LV呪文でも1000gpかからず神様にアドバイスを貰えるわけです。
 1000gpって、8LVパーティというか、8LV用のシナリオでは余裕だよね。
 
※ この他にバードに歌ってもらう(バードの知識で判定してもらう)事や、いるならばローアマスターでも可。
 図書館で出目10、時間があれば出目20での調査も含まれます。
 
 でまぁ、この二つの呪文はどちらも詠唱に10分かかるので、質問文の作成と合わせて、30分必要ってことです。
 人命が掛かってる緊急事態なら、寺院で司祭を叩き起こしましょう。
 人命が掛かってないなら、翌朝でも良いじゃん。
  
 それから、2時間コースの内訳。
 実はヒューワーズ・フォーテファイイング・ベッドロールで覚え直しが出来ます。
 ※ 1時間寝て、1時間で覚えなおし。わずか3000gp。魔道師大全。
 
 最後に、普通に寝て普通に起きて覚えなおし。
 
 宝探しであれ遭難者の救出であれ、神様のアドバイスもらった為の30分の遅れで失敗するなら、そもそも成功しないですよ。
 それに普通に漫然と探すよりも、神様のアドバイスをもらう方が、30分よりも多く短縮できるでしょう?
 
 こんなワケで、8LVくらいのプレイだと、呪文使用の可否を確認するわけです。
 
 特に上級神格は、自分の権能(領域とは違うので注意)に関しては、
 一週間先までなら、未来を知りえます。

 
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 脱線しつつ、脱線じゃなかったりするコラム。
「Yes/Noパズル」について。
 
 上で、ディヴィネーション呪文は「Yes/No」で質問が出来ると書きましたが、返答が必ず正しい場合、質問者が充分賢ければ、恐ろしく強力な調査手段になりえます。
 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%81%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%BA%E3%83%AB
 
 正式名称は「シチュエーションパズル」だったのか、知らんかった。
「海がめのスープ」や「ジョンとメリー」などで有名ですね。
 
 D&Dでは、神格であればディヴィネーションの質問を妨害できますが(市販シナリオで実例あり)、それでさえ「中立の神格が妨害したか?」「秩序の神格が妨害したか?」と問えば属性を限定できるので、ワールドによっては、もう2〜3の神格しか残りません。
 あとは同様の手法で、妨害者を特定できるでしょう。
 
※ 悪の神格が〜〜とか、混沌の神格が〜〜と聞くと、それぞれの属性だった場合に妨害されうる。
 よって、中立や秩序の神格をチェックすれば、消去法で残った神格の属性がわかる。
 あとは、該当する属性の神格で「違いそうな名前」を聞いていけば(無関係だと妨害されないから)、消去法で特定できる。
 
 妨害している神格ですら特定できるのに、たかがモータル(神格以外の、寿命のある普通の連中の事)を特定できないなど、ありえるだろうか?
 もちろん「ググッたけど検索結果多すぎ」で見つからないことはありますが、必要な情報を集めることは可能でしょう。
 
 if文的に二分岐検索すれば、日時の特定すら可能です。
「10日以内ですか?」イエス
「5日以内ですか?」ノー (これで、6〜10日と限定)
「7日ですか?」イエス(これで、7日と確定。一週間ってことね)
 ノーなら6,8,9,10が残るので、最多でもあと3回で確定する。
 
 やりすぎると嫌われるので程ほどにしたほうが良いですが、ゲーム内世界の人にしてみれば自分の命が掛かっていますし、一般市民の命がかかる場合もあります。
 ですから、ある程度は許容される手です。
 
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 このディヴィネーションに加えて、コミューンもあります。
 
「神様。本件に関してアドバイスを下さい」

 
 この曖昧な「教えて君」が許されるので、ディヴィネーションと合わせれば、情報はほとんど丸裸になります。
 
 こう言ってはナンですが、ある程度レベルのいったD&Dで推理モノや情報戦をやろうとするのは、ほぼ無意味です。
 
 テレポートのある世界で密室殺人とか、
 死者との会話がある世界で殺人事件の犯人探しとかは、
 予算制限以外の理由では、成立しないでしょう?
 
 8LVとかだと、その予算の壁も壊されちゃうのよ。
 だって、自分で用意できるもの。
 
 地理的な条件をつけても、テレポートできちゃうレベルだと大都市行って解決するから、引き延ばしにしかならない。
 もっとレベルが上がれば次元転移すらできるから、どんな呪文だってアイテムだって、予算の許す限り使えてしまう。
 
※ 1LV〜20LVまで続く長編シナリオ「シャックルド・シティ」(未訳。ダンジョン誌連載と、まとめられた分厚いシナリオブックがある)だと、この問題を回避しています。
 舞台がアメディオジャングル(グレホMAPの左下)の突き出した半島の先端部なので、テレポートしても買い物できる場所が(呪文の距離的な意味で)ありません。
 12LVになれば届くかもですが、1LVからこのシナリオだけプレイしているので、どの場所も知らず、テレポートが非常に高い確率で失敗します。
 ただまぁ、12LVだとクレリックが次元間移動(プレーンシフト)するかもだけどね。
 
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 とまぁ、こうやって挙げたように、ある程度以上のプレイでは、必要な手順さえ踏めば情報は手に入ります。
 悪くしても、情報を手にいれる方法が確定します。
 そうなれば、後は目的に向かって突撃するだけ。
 いつも通りの、昔ながらの、ダンジョンアタックに移れます。
 
 こうしてみると、調査呪文+テレポートによる「ダンジョン突入までの手順省略」をするプレイって、結果的にだけど、シーン制でのプレイに近くなるよね。
 
 というか、シーン制が目指した良い意味でのプレイの省略や簡略化の中身って、こういう部分だよね?
 
 10/25の隠した部分にも書いたけど、消耗品5倍とかって、マジで意味ない。
 
※ 繰り返すが、呪文使いPCだけ不利益を受けないようにする意味もある。
 
 この理由もあるので(買える場所まで往復するだけだから)5倍購入の効果というか、意味が消える。
 
 と言うか、プレイ開始後に自由に買い物できるなら、PL視点では「ダマされた」となる。
 定価で買えるものを、5倍で買わされたのだからね。
 
 そして呪文の覚えなおしを禁ずると、ただでさえプレイの面倒な呪文使いに更に負担を与えることになる。
 それは良いプレイだろうか?
 
 より良いプレイのためには、簡略化された結果だけでなく、その中身や経緯を知ることも役立ちます。
 
 機械的(独善的)に「オレはDMだから根拠なく気分で決める」と言うよりも、
 意味や内容を理解して決定する方が良いと思いませんか?
 
 今回は上までで終了だけど…。
 一応、下に続きます。