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 そんなこんなで、レビューしてみましょう。
 英語版は出た直後から持っていましたし、セイントを使った事もありますから、まぁまぁ読んでいると言えるでしょう。
 少なくともサイオニクスハンドブックよりは読んでいます。サイは原書持ってないし。
 
 今回は、自発的清貧、セイントそしてハーフセレスチャル。次いで特技、最後に呪文の順番でレビューします。ちなみにこの本で最も危険なのは呪文です。いくつかの自主規制が入るほどの強烈さです。
 
 呪文は最後と言いましたが、早期警戒の意味をこめて、危険な呪文だけは挙げて置きましょう。
 

 
 成聖呪文(Sanctified Spell)
 これは呪文の新しいカテゴリです。カテゴリ自体が危険です。
 この呪文リストの獲得条件は、術者がグッドのスペルキャスターである事だけです。つまりグッドでありさえすれば、呪文の使えるプレステージクラスを取るだけでもいいのです。
 しかも恐ろしい事に、グッドのクレリックであれば、今覚えている呪文をキュアに変換するのと同じ要領で成聖呪文に変換してよいのです。
 これによって、クレリックが自由にダメージ呪文を用意できるようになってしまいました。
 なお悪い事に、成聖呪文に入っているダメージ呪文は(エラッタが出ていないせいで)最強のダメージ呪文なのです。
 一応、形ばかりのペナルティがあって、呪文の効果が終了した時点で一定のStrを神格にささげる(サクリファイスする)必要があります。
 ですが、扱いが単なる能力値ダメージなのですぐに治せてしまいます。それにLV時間の効果なら、少なくともダンジョン内でStrが下がって困る事は無いのです。
 
 
 ルーマナス・アーマー(普通はルミナスと発音する気がする)
 2LV呪文でありながら、3LV呪文のデイライトの上位効果(持続時間がLV/10分からLV/時間に向上)を含みます。
 2LV呪文でありながら、3LV呪文のメイジアーマー・グレーターとほぼ同じ効果(AC+6がAC+5に下がっただけ)効果を含みます。
 ほぼ無属性(視覚効果)の命中-4を敵に与えます。眩しいから、だそうです。こんな強力なペナルティを自分中心で発生させる呪文はほとんどありません。4LV呪文のビストゥ・カースが4ペナを与えますが、これは単体目標ですしSTもあります。
 2LVで他人に掛けられる呪文なので、ポーションにすることが出来ます。ですから誰でも使用可能です。
 つまり、たかが2LV呪文なのに、AC+9をLV時間与え、しかも暗闇に対してほぼ無敵なわけです。「光に過敏」へのペナルティとしても機能します。
 これだけの効果があってStrダメージはたったのd2です。なんだこりゃ。
 これまでモンクの人はメイジアーマーでAC+4が精一杯でしたが、これからは事実上のAC+9なわけですね。サイオニクスのタトゥーとあわせればAC+13ですか。DexとWisで5は上がってるでしょうから、実質AC28前後になるわけですね。わずか3LVで。
 ちなみに4LV呪文としてグレーターが用意されています。変更点は2つだけ。AC+8、Strダメージd3。死んだ方がいい。
 
 
 セレスチャル・アスペクト
 目からビームキターーーーー! 3LV呪文でLV/分。
 ギャグじゃなくて、まじで目からビームですよ奥さん。なんつーか、モンティーホールもここに極まれりって呪文です。
 この呪文には効果が4つあり、切り替え自由なので対応力が非常に高くなっています。
 
 効果その1:目からビーム。
 通常の凝視ですらなく、標準アクションで見るだけで目標1体に2d6炎ダメージを与えます。
 見るだけだからグラップルされても困りません。使い魔とシェアできますから、実質4d6ですね。
 大全アリの環境では5LVで最大化が可能ですから、炎ダメージであるのが弱点ですが、LV/分の間、つまり50ラウンドの間、24ダメージ確定です。都合の良い計算ですが、それでも1200ダメージってのはいかがなものかと思います。
 
 効果その2:天使の羽
 文字通り天使の羽が生えます。MV100で機動性良好。
 3LV呪文のフライがMV60ですから上位互換です。ディスペル時のフェザーフォールはないですが、要するにファイタにかける飛行能力としては充分でしょう。なにしろクレリックが変換して唱えてよいのですから、困った時のセレスチャルアスペクト頼みですね。
 
 効果その3:天使の角
 文字通り天使の角が生えます。これで突撃(突撃限定らしい)して命中すると、招来と招請に対して判定無しで強制送還を食らわせます。サモンモンスター以外の方法で来た連中が強制退去です。具体的にはプレイナーアライ系とゲイト。なんつーか、9LV呪文で引っ張ってきたモンスターが3LV呪文の効果でお帰りってのは泣けるでしょう? それでいてこのゲームで最強の条件「判定なし」が入っているので強烈です。攻撃して命中させなきゃいけないって言われても、当てる気になれば難しい事ではないですし(接触化とかトゥルーストライクとか)。
 サモン=召喚。プライナーアライ=招来。ゲイト=招請。これは覚えておくと便利です。
 自力で次元を渡って来たヤツがどう扱われるのかは不明。だれか詳しいひと教えて下さい。
 
 効果その4:天使の剣
 文字通り天使の剣が生えます。ロングソードかショートソードを選べて、ホーリーかフレイミングのどちらかを付与できます。
 5LV時点では+2相当武器って手に入らないし、マジックウエポン・グレーターも+1までですから(+2は8LVから)、非常に(いっそ非情に)効率が良いですよね。
 
 
 ハンマー・オブ・ライチャスネス 3LV
 一見すると弱い魔法です。力場で確実に命中とはいえ、頑健STで半分になるからです。
 しかし、呪文LVによる最大ダメージ制限が書かれていないため、青天井のとんちきダメージ呪文になっているのです。
 LV数値の高いプレイでは、クレリックは術者LVがかなり上昇します。アイテムで+4、タトゥで+1、副属性(善)とドメイン効果で+1、その他、私の知らない効果で+4くらいできるはずです。ってか、+10くらいしている現場を見た事があります。
 これを最大化して撃たれると、半分にしても関係ないくらいダメージが出るんですよ。メタマジックでダメージは増やせるしね。んで、極めつけは「イニシエイト・オブ・ミストラ」が特殊能力でアンチマジック・フィールドの中に撃ってくると。そんなの防げねー。
 
 
 ここからは成聖呪文じゃなくて普通の呪文
 
 
 ディヴァイン・サクリファイス Pal1,グインハーウィフ1
 10ダメージ受けて攻撃のダメージを+5d6できる。これだけでもう充分すぎる。
 セイントが使うと最悪。なぜって自動的に回復するから。
 
 
 セレスチャル・ブリリアンス Clr4,Glory4,Sor/Wiz4 LV/日
 つーか、LV/日って時点でおかしい。
 60f半径に、イビルとアンデットが自動的にダメージを受ける光を放ちます。自動ですよ。
 これって、解釈によっては大変なんですよ。だって、光が重なっている範囲でダメージが累積しない理由ってあんまり無いですから。
 LV/日持続するので、パーティ全員がこの呪文のかかった小物を身につけていたりすると、イビルは小物の数だけd6ダメージ。アンデットなら2d6ずつですよ。そんなの死にますって。持続時間延長したら、4LVだから最低でも七日が二週間に延長されてしまいます。そりゃ沢山準備しますよ。
 光の副属性が付いていますからラディアント・サーヴァント・オブ・ペイロアだったりすると範囲が二倍です。教会の照明はいっそ全部これですよね。半月に一回、7LVの司教が巡回して唱えていけばその教会は安泰です。
あ、7LVだとラディアント・サーヴァントになってるよ。もうダメじゃん。
 
 
 スターマントル Sor/Wiz6,Joy7 LV/分
 全宇宙で最悪の呪文。ゲームが破壊される。
 この呪文の対象がイベージョンをもっていた場合、命中判定を伴う攻撃は反応ST15(固定値)で無効になります。6LV呪文を唱えるって事は11LVですから、ファンブル以外は15くらいだせます。つまり攻撃する意味がない。イベージョンはリングにすればフルプレートでもできるし。
 Race of Dragon にも最悪な2LV呪文がありますが、それと同じくらい最悪です。
 
 
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 このように、斯くも残虐で極悪非道な呪文の数々が掲載されているわけです。
 フィートやプレステージクラスが此れほどまでには暴虐を尽くしていないとはいえ、まさに恐るべき内容が満載されているとご理解いただけでしょうか。
 これらの呪文を踏まえた上で今後のレビューを見ていただけると、状況の正確な把握に繋がるでしょう。